平成28(2016)年4月、藤見惺院長の後任として赴任致しました.私は、昭和51(1976)年に卒業して九州大学第二内科(現 病態機能内科学)に入局し、昭和53(1978)年に腎臓研究室(腎研)に配属されました.当院、福岡腎臓内科クリニックの前身は福岡胃腸心臓クリニック(略称:胃心クリニック、通称:胃心(いしん)).私が、腎臓専門医を目指し始めた頃、最初に慢性透析患者さんにふれた施設です.
当院は、藤見先生が米国からご帰国後、九州大学第二内科に腎研を創設して慢性透析療法を実践する場として発足しました.この約40年間で、胃心にはじまった腎研の関連施設は、飯塚、筑後、北九州、松山にも拡がり23施設になりました.当初、10名足らずの研究室員も、今ではOBを含めて150名を超え、密なネットワークを形成して大きなチーム医療を展開しています.
当院の最強のサポート施設は
九州大学病院(包括的腎不全治療学 助教 中野敏昭先生)と
福岡赤十字病院(腎臓内科 部長 德本正憲先生)です.
九州医療センター(腎臓内科 部長 中山勝先生)、
浜の町病院(腎臓内科 部長 吉田鉄彦先生)、
九州中央病院(腎臓内科 部長 水政透先生)も支えて下さいます.透析患者さんの全ての合併症に対応できる体制が整っています.
当院の透析室長は谷口正智先生、わが国を代表する「CKD-MBD」の専門家です.慢性腎臓病(CKD)に併発するカルシウム、リンなどミネラル代謝・骨代謝異常(MBD)を研究する領域です.当院では、谷口先生を中心に、九大腎研からの若い先生方が慢性透析患者さんと接し、透析の臨床に従事し、透析医学を前進させる場として活用しています.
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最近、長期透析患者さんの増加と患者さんの高齢化に伴う合併症が大きな問題となっています.これまでに開発され臨床に応用されてきた活性型ビタミンDやエリスロポエチン製剤など優秀な薬剤は、透析患者さんの病態を改善させる画期的な治療法をもたらしました.しかし、長期の透析療法に伴う透析アミロイド症、二次性副甲状腺機能亢進症を代表とするカルシウム・リン代謝と骨関節の異常、栄養障害など多くの新たな病態が患者さんのQOL(生活の質)を障害しています.今、腎研では、関連施設を中心としてQ(九州)コホート研究(総数39施設:参加登録患者さん約3,600名)という疫学研究を進めています.血圧、貧血、カルシウムやリン、透析時間など、透析患者さんの生存に影響する因子を探索してさらなる予後向上を目指すことが目的です.
良い透析療法の基本は、血流量・透析液流量、そして、最も重要な透析時間(5~6時間以上)を十分に確保した透析を維持することです.これがスタンダードな透析です.それをベースに、よく食べ、よく動いて生活をエンジョイすること、これで良い慢性透析療法が達成されます.
高齢化、欧米化した食生活、運動不足などが影響した生活習慣病は大きな社会問題で、慢性腎臓病もその一つです.当院では透析療法とともに内科外来(腎臓病専門)も用意しております.平成13年に、藤見先生が開設されました.腎炎、ネフローゼ症候群、膠原病、高血圧はもちろん、生活習慣病に隠れた腎臓病にも気をつけて診察致します.より詳しい検査や治療を要する場合は、九州大学病院や福岡赤十字病院の腎臓内科と連携いたします.心強い味方です.どうぞお気軽においで下さい.完全予約制で時間をゆっくりおとりします.
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